怒る必要なし!中学校の生徒指導で意識すべき大切なこと1選!具体例有
「年頃の中学生へうまく生徒指導ができないな…。」「誰かを叱るとか苦手。」「生徒に少しなめられてしまう。」「問題児の扱いに困っている」など、生徒指導の悩みは尽きないものですよね。この記事では、
・生徒指導で【怒る】必要がない理由
・教師が生徒指導で意識すべき大切なこと1選
・具体例をふまえたポイントの解説
・この方法を実践し、【問題児】が【リーダー】に成長した具体例
このような内容を、実際に中学校教諭として生徒指導担当をし、生徒アンケートの学級満足度が100%になった僕が解説させていただきます。
生徒指導で【怒る】必要がない理由
生徒指導で悩みを抱える人の多くは、
「どんな言葉をかければいいんだろう」「どうすればなめられずに言うことを聞いてくれるんだろう」といったことを気にする人がとても多いですよね。今、僕はある大学と共同で組織開発の研究や研修をしています。そこで、以下の図をご覧ください。
この図は、マサチューセッツ工科大学(世界大学ランキング1位を取ったことのある大学)のダニエルキム教授(組織開発の第一人者)が提唱した成功循環モデルです。ここで言っているのが、
誰もが「行動の質」に着目しがちだが、本当に大切な事は「関係性の質」を改善することなのです。ということです。この関係性の質を築くことが、組織を成功に導くと言われています。
何が言いたいかというと、生徒指導において【怖い先生(生徒指導担当)に任せる】や【どんな指導をすればいいのか】などは、この図でう【行動の質】の部分です。組織開発の観点からいえば、大切なことはそこではないのです。みなさん自身と生徒との【関係性の質】さえ改善、構築しておけば、生徒指導はどうにでもなります。結局、【男の先生】【生徒指導担当の先生】に任せたところで、その効果は一時的なもので、生徒の本当の成長変化にはあまり繋がっていないと考えています。叱るのが苦手、生徒指導が苦手だと感じられているみなさん、安心してください。全然大丈夫です。順天堂大学名誉教授の北森義明教授(日本の組織開発第一人者)によると、「人や組織、集団には【主体性やポジティブなエネルギーはすでに内在している】要は、それをこちらがどう引き出すかが大切であり、「教えるー教えられる」モデルではない」と話しています。生徒に注意をする場面は確かにあります。ただし、怒る、声を荒げる。その行為自体は重要ではないのです。では、具体的に何を意識すればいいのか、次の見出しで触れていますので是非ご覧ください。
教師が生徒指導で意識すべき大切なこと1選!
それでは本題です。教師が生徒指導で意識すべき大切なこととは、
「悪い時」ではなく「良い時」に呼び出すこと!
です。若手の先生のみなさんは、生徒を呼び出す時は、叱ったり、指導するときにするものだと思っていませんか?実は、私は常にその逆をしてきました。僕は、問題や課題がある生徒の良い行動、ポジティブな発信等があった際、「良い時」に呼び出して褒めることを心掛けていました。これは、仮に生徒を「個別」で呼び出し、指導しなくてはいけないことになった場合、圧倒的に教育効果を上げてくれます。この行為を継続していくと、以下のことが実現可能になります。
- 個別で指導した生徒への教育が今まで以上に行き届くようになる
- 指導したはずなのに、その生徒と増々信頼を勝ち取れる
- 問題がある生徒がクラスのリーダーに成長していく
具体例を踏まえた解説を次のパートでお話します。具体的にどんな場面なのか、どんな声掛けをしているのか、これらを実現するうえで大切なことを話しますのでぜひお読みください。
・具体例をふまえたポイントの解説
ここからは場面を想像してみてください。みなさんは中学校の先生です。そして今あなたの目の前でポジティブな様子が見られた問題児がいます。
その生徒をあなたは呼び出しました。
その生徒は「なんで呼び出されたの?!」「俺なんかしたか!?」
といったふうにテンパっていることでしょう(笑)
教員のみなさんも、生徒を個別で呼び出すときは「悪いことをした時」と思っていたと思いますが、
それは生徒も同じなのです。そんな時、みなさんがこんな声掛けをしました。
「○○君!今日隣の○○さんが教科書忘れたからって見せてあげてたね!」
「音楽の時間、係じゃないのに椅子出し手伝ってあげてたね!」
「○○君のそういうところ、すごく良い!」 「素晴らしかったから呼び出しちゃった!」
すると目の前の生徒は、
「え…それだけ?(笑)」のような反応をすることでしょう。
そしてその時生徒の顔を見てください。少しニヤけていますから(笑)
そしてこう続けます。
「今日の○○君は本当に良かったね!でもさ、人って間違ったこともするのが普通じゃん?だから、良い時もあれば悪い時もあるわけで…。そうなった時もきちんと言うからね。」
仮にこの数週間後、この生徒が間違ったことをしてしまった時、またあなたはその生徒を呼び出し、生徒指導することになります。でもそんな時、
「今日は間違ったことをしてしまったね。それはやっぱりいけないことだと思う。でもね、私は○○君が△△のような良いとことろもあることも知ってるよ。」
この言葉をかけるだけで、
生徒指導に心はが宿ります。
あなたの話を真剣に聞いてくれます。
あなたが言うなら「正さなくてはならない」と思ってくれます。
もっと言えば、あなたを悲しませたくないと思ってくれます。
良いことと悪いことが、生徒の中ではっきり区別することができるのです。そんなやり取りを続けていくと、その生徒はあなたに心を開き始め、本音が話せるようになり、
「○○君には体育祭のとき、クラスを引っ張って行ってほしいな」
「班長やってみなよ!○○君ならできるよ!」という会話に発展していきます。
問題を起こす生徒や「△」、「×」がつくような生徒は、裏を返せば、人と違うことができる、少数派としての強さ、行動するエネルギーがある。そう僕は考えています。少し考え方を変え、力の向けどころを変えてあげるだけで爆発的な力を発揮してくれるのです。それを引き出し、導いてあげるのが、みなさんの仕事なのです。どんなに問題を抱えていても、ポジティブな一面は必ずあります。それを見つけてください。やはり、ベースは認め、褒めること。「○○君なら大丈夫」「○○君ならできる」「私は○○君のこと応援してる」というふうに、生徒のよき理解者であり、応援者であり、フォロワーになることです。間違っても「○○には無理だよ」なんて言ってはいけません。
以上、生徒指導で意識すべき大切なことについてまとめてみました。次のパートでは、実際にこの方法を実践していく中で、問題児と言われていた生徒が劇的な成長をとげ、リーダーになった具体例を紹介します。
この方法を実践し、【問題児】が【リーダー】に成長した具体例
僕はこの方法を実践することで、「問題児」というレッテルを貼られた生徒が団長や班長、はたまた学級委員や生徒会本部等、人の上に立つリーダーに成長していく姿を何度も見ることができました。問題児だと思っていた生徒がクラスのリーダーになってくれたら、みなさんはどうでしょうか?
いくつか具体例を紹介します。1年生の時にはいじめの主犯格であり、授業中はPSP(ゲーム)をしていたり、女性の先生のことを「クソババア」と呼んでいたり…そんな彼を2年生で担任を持つことにななりました。先ほど紹介した方法を続けていく中で、彼は大成長を遂げ、後に体育祭の団長として、団優勝、そして合唱祭実行委員会として最優秀賞を受賞するまでクラスを導いていくリーダーに成長を遂げます。私はあの光景(成長)を見たときの衝撃と嬉しさは今でも忘れられません。それからというもの、リーダー育成はけんぱちの最も得意な分野になりました(笑)
また次の年になると、またもや問題行動が目立つ男子生徒を2人受けもつことになりました。実はその2人はとても仲が悪く、小学校4年生から一言も口を利いていないとのことでした。そんな2人は、後に肩を組み合い、合唱祭では自由曲と課題曲のそれぞれの指揮者としてクラスを最優秀賞に導きます。問題児男子生徒2人が合唱の指揮者ですよ?(笑)しかも、そのうちの一人は全学の最優秀指揮者賞まで受賞しました。
また、女子生徒の例を挙げると、当時中学2年生で、内乱で荒れまくっていた女バスの中心核となる生徒を受け持つことに…。最初は他の先生方とも衝突し、その生徒の保護者の方は何度も学校訪問していました。そんな生徒が、3学期から毎日毎時間、黒板を自らピカピカに消してくれるようになりました。彼女には何度助けられたことか…。そして、3年生になって引き続き担任を持つことになりました。その年の合唱祭では、なんと全校合唱「虹」で全校を代表してソリストをするまでになりました。その他にも班長、指揮者のオーディションに挑戦等、ポジティブな行動が多く見られ、最後には第一志望の公立高校に見事合格して卒業していきました。ちなみにここで紹介した生徒は全員第一志望合格しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。「できないことができるようになること」それは、人生においてとても大切だと思っています。生徒が「変わる」瞬間、リーダーが「誕生」する瞬間をぜひみなさんにも体験してほしい。そしてみなさんのリーダー育成が成功することを願って、是非とも実践してみてほしいと思います!それでは、素敵な学校生活をお送りください☆
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