【教師必見】学び合いで大切なことと授業の進め方のコツ

授業

【教師必見】学び合いで大切なことと授業の進め方のコツ

近年、アクティブラーニングやグループワークの重要性が文科省でも発信され、教育現場でも浸透してきました。若手の先生方は、より良い授業を提供するため、教材研究に励んでいることと思います。そんな中で、「グループワークをさせたいけどふざける子とかがいて失敗しそう…。」「何に気を付ければいいの?」「進め方はあるの?」等悩む先生も多いと思います。そこで今回は、

・学び合いで配慮すべき大切なこと3選
・学び合いの1時間の進め方マニュアル

についてを、全国学力学習状況調査のA問題、B問題、共に【伸び率】で都道県1位を取った僕が解説します。

【絶対に抑えるべき】学び合いの考え方3選

「グループワーク」で生徒たちに本当に力を発揮させるためには、3つの考え方が必要です。学び合いは今日からでも、すぐに始めることが可能です。しかし、考え方が間違っていると、うまくいきません。はじめにに3つの考え方を押さえておきましょう。

1.学校観
なんのために学校に来ているのか(学校観)

2.生徒観
生徒に主体性はすで備わっており、今は内に秘めている

3.授業観
教師の仕事は目標設定、評価、環境の整備で、教授は生徒に任せるべき

教育の多くの建前論とは違って、この考え方が当人の腑に落ちているか、いないかが『学び合い』の正否に決定的に影響します。

学校観 なぜ学校に来ているのか

グループワークを始める時は、生徒たちに、どうして学び合いをするのか。その理由を伝えることが必要です。学級開き、授業開き、折に触れて、上記の1.に書いてある「学校はなんのための場所なのか」を語りましょう。たとえば、「自分のことだけじゃなく、みんなのことも考えられる、立派な大人になるため」と、語るのもよいでしよう。子どもたちが幸せになるためには、自分を大事に思える力、みんなも大事に思える力が必要です。その力をつけるために学校に来て、仲間と共学んでいるのではないでしょうか。社会に出でも、自分一人で生きていくことは絶対にできません。得意なことで人を助けたり、困った時は人に聞いたりすることがでさきる、そういう人と関わる力をつけるために学校に来ているのです。「だから授業中も、助け合って『学び合う」ことをやっていこう」と伝えます。そして、自分だけよければい、ではなく、「みんなはどうかな?」と考えてほしいと頼んでみましょう。こちらの記事も参考にどうぞ。

生徒観 生徒の主体性

生徒は有能です。というか、人は誰しも主体性というものは備わっていて、要はそれを引き出すことができるかどうかが課題なのです。できること、できないことは人それぞれありますが、協力すると個人個人の力の総和以上のことができます。教師が無意識に「生徒だけでは無理」と思っていると、教師が手やロを出さなくてはいけないことが山のように出てきます。しかし、信じて任せると、生徒たちは本来もっている力を発揮して課題を達成してきます。そしてそれは教師の予想を超えていくことすらあります。

授業観 教師の役割

授業は教師が「教える」のではなく、子どもたち自らが学び取るものというのが『学び合い』です。教師が目標を設定、評価をしますが、学習は子どもたちが互いに力を合わせて課題を達成していきます。わからない生徒にとっては、究極の個別指導になります。一人ひとりのわからなさに、生徒たちならば、対応することができるのです。できる子も、教えることを通して、本当の意味でわかったり、理解を深めたりすることにつながります。

以上の3つの考え方をご自身で腑に落としてから、学び合いに取り掛かりましょう。この後の段落で実際の進め方に触れていきます。

学び合いの進め方

導入

実際に『学び合い』の授業を始めるにあたっては、最初はとにかく生徒に語ることから始まります。これからグループワークをやっていくぞ!ということと、なぜその方法でやることにしたのかを伝えます。伝える内容は、学校観、生徒観、授業観です。下記を参考にしてください。

・なぜ学校に来て学のか。なぜ勉強をするのか。
・生徒に秘められた可能性。本来、主体性は誰もが持っている
・1番の学びは人に教えること。先生から一方的にはなすのではなく、学び合うこと

課題の提示

生徒が、自分たちで教え合って授業を進めていくということを理解したら、生徒にその授業での課題を与えます。「今日の、この授業での目標は『全員が○○をできるようになる」です。みんなで教え合って、全員がわかるようにしていこうね」と、まず、目標は何か、授業の最後にどうなっていればよいのかを生徒たちがわかるように説明します。


全員が算数の教料の○○ページの問題1~3を解けるようになる
全員が植物の成長に何が必要かを、他の人にわかるように説明できる
ようになる

黒板に目標をはっきりと書さ、教師が説明してください。この時は一斉授業と同じで、教師がクラス全体に説明をしている形です。時間は長くても数分にしましょう。

学び合い開始の合図

みなさんの「それでは始めてください。どうぞ。」という声かけで、生徒に動きを促します。しかし、これまでの経験から、生徒たちは「ホントに、立ち歩いたり、友達に聞きに行ったりしていいの?」と思っています。そこで、最初は自分の席についたまま一人で、課題に取り組む生徒も多いと思います。それで大丈夫です。大切なのは焦らないことです。少し間を置いて大丈夫です。この沈黙の間が、先生にとってかなり居心地が悪いのですが、それに負けないことです。生徒たちは課題に取り組み、考えている時間だと思ってください。そしてみなさんから、「友達と一緒に考えてもいいんだよ」「立ち歩いてもいいんだなよ」と促していくうちに、やっと誰かが動き始めます。「いいね!わかろうとしているね!」「ありがとう!教えに行ってくれたね!」と進んで取り組んでいることを認めてあげてください。それを繰り返すうちに、子どもたちは「自分が動いて教え合っていいんだ!」ということを理解してくれます。そこからは、ー人で問題に取り組む生徒、「○○さん、一緒にやろう」などと声をかけ合い、友だちとペアになる生徒、グループをつくる生徒など、いろいろな動きが徐々に出てきます。ー人でやるか、誰とやるかが決まって落ち着くと、課題に取りかかります。何をすればいのかがちゃんと伝わっていれば、ほとんどの子どもたちは課題にしっかりと取り組みます。誰かが動き出したり、友達に質問したりしたら、それを評価しましまう。「そう、動いていいんだよ」「わからないことを聞けてえらい!」。または笑顔でうなずくだけでも通じます。それを見て、他の子たちも安心して動き始めます。

授業中盤 仲良しグループ

初めはいつもの「仲良しグループ」になって学習し始めます。課題に取り組まないで、遊んでしまう子も見られるかもしれません。学習が苦手なあの子が困っている様子が見られるかも。やらない子や不真面目な子がいたとしても叱りません。むしろ、教師は意識的に、ちゃんとやっている子、学び合っている子の方に目を向けて、うまくいっている子がどの子なのかが全員にわかるように「可視化」をしていきます(この場合の「可視化」とは、全員の前でうまくいっている子をほめることです)。わかろうとしている子、みんなのために動いている子に注目するようにします。一人でできた子をほめるのではなく、教え合っている子に注目するように心がけて、「その説明すごいね!」「なるほど~!」「すごい!」など、いい行動をしている子どもたちのよさを全員に可視化するようにします。

授業中盤 仲良しグループを超える生徒

そうしていると、課題を終えた子たちが「わからない人~?」などと声をかけながら、仲良しグループを離れて動き始めます。「わからない~」教えて~」「○○さ~ん、来て~」など、困っている生徒もアクションを起こし始めます。仲良しグループを越えて、あちこちで色々な組み合わせができ、ここでも学び合いが起こります。答えを丸写しして終わりにしてしまう子がいるのではないか、と初めは心配かもしれません。もしそういうことがあったら、もう一度、「本当にわかることが大事だ」ということを全員に語り直します。正解を書くことより、全員が意味がわかること、全員が他の人に意味や理由を説明できて教えられるようになることが大事だということが伝わっていれば、安易に答えだけを聞いたり教えたりしてよしとはしません。それに子ども自身が「ちゃんとわかりたい!」「教えたい!」と思っています。

子どもたちが動き出して、教え合いが実際に始まると、「そうか!」「わかった!」「ありがとう!」などの声が聞こえてきます。そのうちに、「え?まさか!算数の苦手な○○君が△△ちゃんに教えている!?」という感動の場面も生まれます。たくさんの子に引っ張りだこの子も生まれます。いつもはおとなしいあの子が大活躍をし始めたりします。一育授業では取り組もうともしなかった子が、うんうんと真剣に考えている様子が目に入ってきたりします。できない生徒の「わからなさ」に寄りそって、やさしく説明している生徒の姿も見られます。教師は「へ~、なるほど」「その説明わかりやすね!」と、クラスの中でうまくいっている情報がどこにあるかを、大きめの声でほめることで知らせていさます。また、間違ったことが広まりそうな時には、小さな声で「あれ?そうかな?」などとつぶやくことで情報を広めていきましょう。

学び合いの終わり

「俺、もうできた!」という子がいたら、その子をほめるのではなく「○○くんはできたらしいよ」と全員にわかるように伝えます。そして全員に「わかった人は他の人に教えてあげてね」と「教え合う」ように促します。「一人で」「早くできる」ことをほめるのではなく、「全員が」「教え合う」ことをほめて奨励します。「みんなができるように」を繰り返し教師が求めていくうちに、教師と同じ気持ちでクラスを見てくれる子が出てきます。いつもの仲良しと課題をやっておしまい、ではなく、まだできていない人はいないか、と教室を回って教え始める子が出てきます。または「わからないよ。誰か教えて!」とみんなに向かってつぶやく子が出てきます。こういう動きを見逃さず、「みんなのためを考えているね!」「わからないって言えることが大切だね!」ということをみんなに伝えていきます。このあたりで「ほぼ全員」が学習に取り組めている状態になってきています。あと少し。本当の「みんな」を目指します。

授業の終わり方

みんながわかって授業終了。…となれば一番です。でも実際はそうならないことも数多くあります。どちらにしても時問になったら終わります。「今日はみんなが課題を達成できたね!さすが」。または「今日は連成できなかった人もいるけど、みんながみんなのために精一杯できたかな?『みんな」ができることを期待しています」などその時間のクラスとしての学びについて教師が評価して終わります。まとめをしないということに不安を感じる先生方は、多いそうです。そんな場合には、今日学習したことをノートにまとめる時間をとることもいいと思います。子どもの振り返りにもなりますし、教師もその時間の子どもたちの学びを見て取ることができるからです。また、今日学習したことのミニテストを行うこともいい方法です。子どもたちにとっても学んだことの確認になりますし、教師の不安も解消されやすいでしょう。このミニテスト。今までの常識では、自分一人の力でやると思いますよね?ですが『グループワーク』の先進校ではこれも『学び合い」でやっているのだそうです。

授業終了後の生徒

先ほど書いた通り、時間が来たら、まだ課題達成していない生徒がいても終了します。時間は必ず守ってください。しかし学び合いでは、授業が終了しても、なお課題達成までやり続ける子どもたちの姿が見られます。この姿を見て感激した、というのは学び合いを始めた先生方に共通しています。授業を受ける、から自分たちで学び取る、になった姿だからではないでしょうか。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございました。学び合いの大切な考え方と、進め方について、少しでもみなさんのお役に立てたら幸いです。別記事で【学び合い成功】授業のコツもまとめていますので、ぜひそちらもご覧ください。

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